『ヒトは躾で人となる』 目次

まえがき

日本には「可愛い子には旅をさせろ」という諺があります。これは、わが家庭で子供を育てると、つい親の情として子供を甘やかしてしまい、その結果、しっかりした人間に育て上げることができないので、むしろ外に出して苦労させたほうがかえってまともな人間になるという教訓を述べたものです。
ところが戦後の日本では、このような「しつけ」教育は子供の人権を無視し、その自由を束縛し、その個性を抑圧するものとして、これを嫌悪する風潮が盛んになって今日に至っています。
たとえば戦前の日本は「東洋の君子国」といわれ、日本人が礼儀正しく謙譲的で思いやりの深い民族であるとして、これを賞賛してきました。これは日本語の語法や音調にもよく現れています。
今こそ日本のよき伝統に根ざし時世に適応した「しつけ」教育を子供に施さなければ、日本の将来は憂れうべき状態になるでしょう。このような「しつけ」教育を子供に施しておけば、その子供の生命力が強固になり、やがては個性豊かな主体性が確立されて、いかなる事態に遭遇しても無碍自在にこれに対処できる真の自由人になり得るでしょう。


一章 躾の重要性

  • 躾が乱れた現代
  • 言葉遣いの乱れ
  • ひいては道義も乱れる
  • 躾の極地は忘
  • 躾という言葉の意義
  • 子供の躾は形から心へ

  • 二章 なぜ、躾が必要なのか?

  • 幼児に対する躾の真の目的
  • 忍耐と抑制は日本文化の粋
  • 心身未分化の時にすべき躾
  • 土地によって違う躾、土宜論
  • 時代によって違う躾、時宜論
  • 躾の根底にある礼の教え

  • 三章 貝原益軒の説く躾教育

  • 益軒の偉大さと啓蒙書「十訓」
  • 教育書『和俗童子訓』の要点
  • 子供を溺愛する害悪
  • 傲慢を抑え苦難に耐える
  • 暖衣飽食を避ける
  • 古典を読み古い話を聞く

  • 四章 人倫道徳としての躾

  • 東洋の人間観
  • 思いやりと人倫道徳
  • 霊妙な身体を美しくする礼
  • 礼の教えとその心
  • 心学から身学へ
  • こつ座の意義と思想

  • 五章 躾教育の具体的な進め方

  • 躾の動静とこつ座
  • 挨拶と敬語
  • 音楽・美術と遊び
  • 必要な漢字・漢文教育
  • 名言・名句の暗誦
  • 伝統思想への誇りを
  •   

    閉じる